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仮囲いの可能性

投稿者:山崎真司

 ヨーロッパに行くと、とにかく美的感覚が優れているなとつくづく実感します。

 この写真はパリで出会った光景です。
 工事中の仮囲いに絵が描いてあります。恐らく改修中であろうその仮囲いには、遠目には工事中であることを感じさせません。一種の”だまし絵”です。
 また、ローマに行った際に見たのは、ビルのファサードがシンメトリーに窓と彫刻が配されていて、美しかったのでその彫刻の目の前まで行ってみると、本物の窓と彫刻は一つで、それ以外の窓と彫刻は外壁に描かれた”だまし絵”でした。見事にだまされました。。。とてもシャレた演出ですね。

 日本で仮囲いといえば、そのほとんどが工事看板や広告であることが一般的です。足場がなくなれば外すのだから、そこにお金をかけても意味がないと考えてしまいがちです。 
 しかし、本当に意味がないのでしょうか。建物全体を覆うほどのスクリーンなどそう簡単にはありません。ましてやそれが工事期間中であれば何の制約もなく掲げることができ、多くの人々の目に触れ、何が隠れているのだろうという興味と期待感をもたらし、建物が姿を現す(生まれる)と同時に姿を消すという潔さ。舞台のどん帳に似ていますね。
 

 例えば表参道ヒルズ建設中に話題となった、クラインダイサムによる「グリーングリーンスクリーン」。緑の連続が機械的な工事の雰囲気を消却すると同時に、表参道の並木と多くの緑が道行く人を逆に癒していたそうです。
 

 仮囲い、英語でいうと「temporary enclosure」・・・読めません。。。
 工事中に安全を確保する以外にも、もっと面白いことが出来そうな可能性を秘めています。「仮囲い」といういかにも建設的な名前も、「ウォールスクリーン」とか呼び方を変えれば見え方も変わってくるのではないでしょうか。
 見られていることを意識しそこに何かを仕掛けることで、建設中更には解体中の現場も見え方が変化し、ひいては街全体が楽しくなるのではないかと思います。

  ちなみに「工事中景」という、仮囲いだけを集めた本が出版されているので、興味のある方は是非手にとってご覧ください。面白いです。