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津久見小学校校長 小倉一人先生

投稿者:小島哲夫

 私は60年近く昔、津久見小学校入学式で初めて小倉先生にお会いしました。当時新1年生の私から見れば、先生は雲の上の存在でしたが、先生の挨拶を聞き、先生のやさしさに触れるにつれ、次第に温かい人柄を感じとっていたように記憶しています。
 入学してまもなく、私は、津久見の町で偶然自転車に乗っている小倉先生にお会いしました。
 「わ、校長先生。」と驚いた私は、とっさに帽子を脱いで「こんにちは。」と挨拶をし、ぺこんと頭を下げました。
 すると先生は、自転車を止めて「はい、こんにちは」と挨拶を返し微笑みながら私を見つめています。見つめられた私は、たちまち上気して顔が赤くなりました。
 以上、先生との会話は、生涯この一言しかありません。

 津久見第一中学校に入学すると小倉先生は、小学校から転勤し、この中学の校長として着任されました。
 しばらくして、全校のマラソン大会が始まりましたが、マラソン嫌いの私は、トップグループからは遥か後方をのんびり走っていました。
 しかも、半分は手を抜き徒歩も交え、それはだらしのないマラソンでした。
 それでもなんとかゴールの正門にたどり着いてみると、そこに小倉先生ただお一人が、遅れて着いた生徒一人一人に拍手をし、温かく迎えていました。
 それを見た私は、全力を尽くさなかったことを、先生に対して申し訳なく、先生の顔を見ることが出来ずに、下を向いて、走り込んだことを憶えています。

 やがて津久見高校に進学し、卒業式を迎えました。
 すると津久見市教育委員会教育長となった先生は、祝辞を述べられ、その中で「君たち若者一人一人には、無限の可能性がある。」と力強く激励してくださいました。
 私も様々な卒業式に出席して数々の祝辞を頂いています。
 しかし、先生のこの言葉以外に記憶にありません。
 ただ、「君たち若者一人一人には、無限の可能性がある。」これだけが脳裏に焼きつき、今なお忘れえない言葉となっています。

 小倉先生は、もと大分銀行頭取小倉義人氏の父上です。